新序 / 雜事第二
故所以尚干將莫邪者,貴其立斷也;所以貴騏驥者,為其立至也。必且歴日曠久乎?絲𣯛猶能挈石,駑馬亦能致逺,是以聰明捷敏,人之美材也。子貢曰:「回也,聞一以知十。」美敏捷也。
新字:故所以尚干将莫邪者,貴其立断也;所以貴騏驥者,為其立至也。必且歴日曠久乎?糸𣯛猶能挈石,駑馬亦能致遠,是以聰明捷敏,人之美材也。子貢曰:「回也,聞一以知十。」美敏捷也。
書き下し
故に干將莫邪を尚ぶ所以の者は、其の立ちどころに斷つを貴べばなり。騏驥を貴ぶ所以の者は、其の立ちどころに至るが爲なり。必ずしも且つ日を歷ること曠久ならんや。絲𣯛すら猶お能く石を挈げ、駑馬も亦た能く遠きを致す。是を以て聰明捷敏は、人の美材なり。子貢曰く、回や、一を聞きて以て十を知る、と。敏捷を美とするなり。
現代語訳
だから干将・莫邪という名剣を尊ぶのは、立ちどころに断ち切ることを貴ぶからである。騏驥という名馬を貴ぶのは、立ちどころに着くからである。必ずしも長い日数をかける必要があろうか。細い絹糸でさえ石を持ち上げることができ、鈍い馬でも遠くまで行き着くことはできる。だから、聡明ですばやいことは、人のよい素質である。子貢は言った。「顔回は、一を聞いて十を知る」。すばやさを称えたのである。
解説
前の章で鄒忌が即答したことへの評です。速さそのものを価値として立てています。名剣を尊ぶのは、立ちどころに断ち切ることを貴ぶからである。そして時間をかければ届く、という言い分を先に潰しました。細い絹糸でさえ石を持ち上げることができ、鈍い馬でも遠くまで行き着くことはできる。時間さえあれば誰でもできる。だから差がつくのは速さのほうだ、という理屈です。聡明ですばやいことは、人のよい素質である。
この章句が説くこと
干将莫邪を尚ぶ所以の者は其の立ちどころに断つを貴べばなり騏驥を貴ぶ所以の者は其の立ちどころに至るが為なり糸𣯛すら猶お能く石を挈げ駑馬も亦た能く遠きを致す聰明捷敏は人の美材なり速さ才
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