呻吟語 / 外篇・詞章・吾は點に與せん
詩家無拘鄙之氣,然令人放曠;詞家無暴戾之氣,然令人淫靡。道學自有泰而不驕、樂而不淫氣象,雖寄意於詩詞,而綴景言情皆自義理中流出,所謂吟風弄月,有「吾與點也」之意。
新字:詩家無拘鄙之気,然令人放曠;詞家無暴戻之気,然令人淫靡。道学自有泰而不驕、楽而不淫気象,雖寄意於詩詞,而綴景言情皆自義理中流出,所謂吟風弄月,有「吾与点也」之意。
書き下し
詩家に拘鄙の氣無し。然れども人をして放曠ならしむ。詞家に暴戾の氣無し。然れども人をして淫靡ならしむ。道學は自ら泰にして驕らず、樂しみて淫せざるの氣象有り。意を詩詞に寄すと雖も、而して綴景言情は皆な義理の中より流れ出づ。所謂風を吟じ月を弄するに、「吾は點に與せん」の意有り。
現代語訳
詩人には縮こまった卑しさの気がありません。しかし人を放埒にさせます。詞人には荒々しく乱れた気がありません。しかし人を淫らで柔弱にさせます。道学には自ずと、ゆったりして驕らず楽しんで淫らにならない気象があります。意を詩や詞に寄せても、景を綴り情を言うのはみな義と理のなかから流れ出ます。いわゆる風を吟じ月を弄ぶことに、私は曾点に賛成するという意があります。
解説
詩と詞の長所と短所を、それぞれ認めます。卑しさは無いが放埒にし、荒々しさは無いが柔弱にする。どちらも一方だけでは偏ります。そして道学の気象が示されます。ゆったりして驕らず、楽しんで淫らにならない。詩を詠んでも義理から流れ出る。孔子が曾点の答えに賛成した場面が引かれ、書物全体が風と月のうちに締めくくられます。
この章句が説くこと
詩詞放曠淫靡道学与点
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