呻吟語 / 外篇・詞章・文章の妖にして道の賊
艱語深辭,險句怪字,文章之妖而道之賊也,後學之殃而木之災也。路本平,而山溪之,日月本明,而雲霧之。無異理,有異言,無深情,有深語。是人不誡,而是書不焚,有世教之責者之罪也。若曰其人學博而識深,意奧而語奇,然則孔、孟之言淺鄙甚矣。
新字:艱語深辞,険句怪字,文章之妖而道之賊也,後学之殃而木之災也。路本平,而山渓之,日月本明,而雲霧之。無異理,有異言,無深情,有深語。是人不誡,而是書不焚,有世教之責者之罪也。若曰其人学博而識深,意奥而語奇,然則孔、孟之言浅鄙甚矣。
書き下し
艱語深辭、險句怪字は、文章の妖にして道の賊なり。後學の殃にして木の災ひなり。路は本と平らかなるに、山溪之にす。日月は本と明らかなるに、雲霧之にす。異理無くして、異言有り。深情無くして、深語有り。是の人誡められずして、是の書焚かれざるは、世教の責有る者の罪なり。若し其の人は學博くして識深く、意奧にして語奇なりと曰はば、然らば則ち孔・孟の言は淺鄙甚だし。
現代語訳
難しい語と深めかした辞、険しい句と怪しい字は、文章の妖であり道の賊です。後進の災いであり木の災難です。道はもともと平らなのに、山や谷にしてしまいます。日月はもともと明るいのに、雲や霧をかけてしまいます。変わった理は無いのに変わった言葉があり、深い情は無いのに深そうな語があります。この人が戒められず、この書が焼かれないのは、世の教えに責任のある者の罪です。もしその人が学問が広く識見が深く、意が奥深く語が奇抜だと言うなら、孔子や孟子の言葉はひどく浅く卑しいことになります。
解説
難解な文体を、妖であり賊だと断じます。道を山谷にし、日月に雲霧をかけるからです。そして中身との不一致が示されます。変わった理が無いのに変わった言葉、深い情が無いのに深そうな語。木の災難という一句も効いていて、無駄に紙が作られます。最後に孔孟が持ち出され、難解さが深さの証拠にならないと示されます。難解さが深さの証拠にならない、と示されます。
この章句が説くこと
難解妖不一致木の災孔孟
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