呻吟語 / 外篇・詞章・小郎人に替はりて貨を負ふ
學者讀書只替前人解說,全不向自家身上照一照。譬之小郎替人負貨,努盡筋力,覓得幾文錢,更不知此中是何細軟珍重。
新字:学者読書只替前人解説,全不向自家身上照一照。譬之小郎替人負貨,努尽筋力,覓得幾文銭,更不知此中是何細軟珍重。
書き下し
學者の書を讀むは只だ前人に替はりて解說し、全く自家の身上に向かひて一照せず。之を小郎の人に替はりて貨を負ふに譬ふるに、筋力を努め盡くして、幾文の錢を覓め得るも、更に此の中は是れ何の細軟珍重なるかを知らず。
現代語訳
学ぶ者が書を読むのは、ただ前の人に代わって解説するだけで、まったく自分の身の上に照らしてみません。譬えれば、担ぎの若者が人に代わって荷を背負い、筋力を尽くして数文の銭を得ても、その中が何の細やかで貴重な品かを知らないようなものです。
解説
読書の仕方を、荷担ぎに譬えます。人の荷を運んで駄賃をもらうだけで、中身が何か知りません。学ぶ者も、前の人の説を解説するだけで、自分に照らしません。労力は使っているのに、最も価値のある部分に触れていないわけです。前に出てきた、本当の味を噛まないという段と同じ主張が、鮮やかな比喩で示されています。労力は使っているのに、価値に触れていません。
この章句が説くこと
読書代弁自照荷担ぎ中身
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