呻吟語 / 外篇・詞章・是れ道の賊なり
唐宋以來,漸尚文章,然猶以道飾文,意雖非古,而文猶可傳,後世則專為文章矣。工其辭語,涣其波瀾,煉其字句,怪其機軸,深其意指,而道則破碎支離,晦盲否塞矣,是道之賊也。
新字:唐宋以来,漸尚文章,然猶以道飾文,意雖非古,而文猶可伝,後世則専為文章矣。工其辞語,涣其波瀾,煉其字句,怪其機軸,深其意指,而道則破砕支離,晦盲否塞矣,是道之賊也。
書き下し
唐宋以來、漸く文章を尚ぶ。然れども猶ほ道を以て文を飾る。意は古に非ずと雖も、而して文は猶ほ傳ふ可し。後世は則ち專ら文章を為すのみ。其の辭語を工にし、其の波瀾を涣にし、其の字句を煉り、其の機軸を怪にし、其の意指を深くして、道は則ち破碎支離、晦盲否塞せり。是れ道の賊なり。
現代語訳
唐宋より後、次第に文章を尊ぶようになりました。それでもまだ道で文を飾っていました。意は古に及ばなくても、文はなお伝えるに足ります。後の世はもっぱら文章を作るだけです。辞語を巧みにし、波瀾を広げ、字句を練り、仕掛けを怪しくし、意の指すところを深めて、道のほうは砕け離れ、暗く塞がりました。これが道の賊です。
解説
文と道の関係が崩れていく過程を、三段で描きます。昔は道が文になり、唐宋では道で文を飾り、後世は文だけを作ります。そして技巧が五つ列挙されます。辞語、波瀾、字句、仕掛け、意の深さ。どれも磨かれるほど道が砕けます。技術の進歩がそのまま道の後退になるという構図で、道の賊と断じられています。技術の進歩が、そのまま道の後退になる構図です。
この章句が説くこと
唐宋文章技巧道賊
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