呻吟語 / 外篇・詞章・牽合附會
漢宋諸儒不生,則先聖經旨後世誠不得十一,然以牽合附會而失其自然之旨者,亦不少也。
新字:漢宋諸儒不生,則先聖経旨後世誠不得十一,然以牽合附会而失其自然之旨者,亦不少也。
書き下し
漢宋の諸儒生まれずんば、則ち先聖の經旨は後世誠に十一をも得ざらん。然れども牽合附會して其の自然の旨を失ふ者も、亦た少なからざるなり。
現代語訳
漢と宋の儒者たちが生まれなければ、先聖の経の趣旨は後の世に本当に十分の一も得られなかったでしょう。しかしこじつけて自然な趣旨を失わせたものも、少なくありません。
解説
注釈の功罪を、両方認めます。漢宋の儒者がいなければ経の趣旨は十分の一も伝わらなかった。その功績は大きい。しかしこじつけて自然な趣旨を失わせたものも少なくない。前の段で解釈の限界を述べた後に置かれることで、注釈を全否定しない構えが示されます。感謝と批判を同時に述べた、公平な一段になっています。感謝と批判を同時に述べた、公平な一段です。
この章句が説くこと
漢宋注釈功罪こじつけ公平
関連する章句
-
尚書・周官公を以て私を滅すれば、民其れ允に懷かん。
-
論語・先進篇顔淵死す。顔路、子の車を請いて以て之が槨を為らんとす。子曰く、「才も不才も、亦た各々其の子と言うなり。鯉や死せるとき、棺有りて槨無し。吾徒行して以て之が槨を為らず。吾大夫の後に従うを以て、徒行す可からざるなり。」
-
論語・季氏篇陳亢、伯魚に問いて曰く、「子も亦た異聞有りや。」対えて曰く、「未だし。嘗て独り立てり。鯉趨りて庭を過ぐ。曰く、『詩を学びたるか。』対えて曰く、『未だし。』『詩を学ばずんば、以て言うこと無し。』鯉退きて詩を学ぶ。他日、又独り立てり。鯉趨りて庭を過ぐ。曰く、『礼を学びたるか。』対えて曰く、『未だし。』『礼を学ばずんば、以て立つこと無し。』鯉退きて礼を学ぶ。斯の二者を聞けり。」陳亢退きて喜びて曰く、「一を問いて三を得たり。詩を聞き、礼を聞き、又君子の其の子を遠ざくるを聞けり。」
-
老子・第5章天地は不仁、万物を以て芻狗と為す。聖人は不仁、百姓を以て芻狗と為す。天地の間は、其れ猶お橐籥のごときか。虚しくして屈きず、動きて愈々出づ。多言なれば数々窮す、中を守るに如かず。
-
尉繚子・將理凡そ将は理官なり、万物の主なり、一人に私せず。
-
『武士道』第十六章 武士道の命脈・武士道の日は既に数えられたり彼等は公平を欲せず、自家の賛誉を博すべきものと、他宗教の形式の誹毀すべきものとを打算計量するを以て其喜びとす、と。されど個々人々の犯せる過誤の如何に関せず、彼等の信ずる基督教の真髄は、吾人が武士道の将来を観察するに当りて、必ずや考究せざるべからざる一大勢力あり。武士道の日は既に数へられたり。視よ、凶兆天に懸りて其未来を指示す。ただに兆証あるのみならず、又た強大なる諸多の勢力の、之れが威圧転覆に黽むるあり。