呻吟語 / 外篇・詞章・話言の遺す所
聖人作經,有指時物者,有指時事者,有指方事者,有論心事者,當時精意與身往矣。話言所遺,不能寫心之十一,而儒者以後世之事物,一己之意見度之,不得則強為訓詁。嗚呼!
新字:聖人作経,有指時物者,有指時事者,有指方事者,有論心事者,当時精意与身往矣。話言所遺,不能写心之十一,而儒者以後世之事物,一己之意見度之,不得則強為訓詁。嗚呼!
書き下し
聖人の經を作るは、時物を指す者有り、時事を指す者有り、方事を指す者有り、心事を論ずる者有り。當時の精意は身と與に往けり。話言の遺す所は、心の十一を寫す能はず。而るに儒者は後世の事物、一己の意見を以て之を度る。得ざれば則ち強ひて訓詁を為す。嗚呼。
現代語訳
聖人が経を作るには、その時の物を指すものがあり、その時の事を指すものがあり、その土地の事を指すものがあり、心の事を論じるものがあります。当時の精しい意図は、その身とともに去りました。言葉が遺したものは、心の十分の一も写せません。それなのに儒者は後の世の事物と自分一人の意見で測ります。得られなければ、無理に訓詁を作ります。ああ。
解説
経の言葉が指しているものを、四種類に分けます。当時の物、当時の事、その土地の事、心の事。前の三つは文脈が失われれば分かりません。そして精しい意図は本人とともに去り、言葉は十分の一も写していないとされます。それを後世の事物と自分の意見で測り、無理に訓詁を作る。解釈の限界を認めた一段です。解釈の限界を、正面から認めた一段になっています。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
経文脈限界訓詁十分の一
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