呻吟語 / 外篇・廣喻・南鄰は德に歸せず
兩家比舍而居,南鄰牆頹,北鄰為之塗埴丹堊而南鄰不歸德,南鄰失火,北鄰為之焦頭爛額而南鄰不謝勞。
新字:両家比舎而居,南鄰牆頹,北鄰為之塗埴丹堊而南鄰不帰徳,南鄰失火,北鄰為之焦頭爛額而南鄰不謝労。
書き下し
兩家舍を比べて居る。南鄰の牆頹れ、北鄰之が為に埴を塗り丹堊するも、南鄰は德に歸せず。南鄰火を失し、北鄰之が為に焦頭爛額するも、南鄰は勞を謝せず。
現代語訳
二軒が隣り合って住んでいました。南の家の塀が崩れ、北の家が土を塗り塗装してやりましたが、南の家は恩に思いません。南の家が火を出し、北の家が頭を焦がし額をただれさせて消しましたが、南の家は労をねぎらいません。
解説
隣家に二度尽くして、二度とも報われない話です。塀を直し、火事を消し、そのために頭を焦がしています。それでも礼が返りません。報いを前提にしない振る舞いの実例として置かれていますが、報われなさそのものも隠さず記されています。前に出てきた、狭い道で助けるのは自分のためでもあるという段と、あわせて読める一段です。
この章句が説くこと
隣家尽くす無報礼続ける
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