呻吟語 / 外篇・廣喻・人の手は己の手に異ならず
人之手無異於己之手也,腋肋足底,己摸之不癢,而人摸之則癢。補之齒不大於己之齒也,己之齒不覺塞,而補之齒覺塞。
新字:人之手無異於己之手也,腋肋足底,己摸之不癢,而人摸之則癢。補之齒不大於己之齒也,己之齒不覚塞,而補之齒覚塞。
書き下し
人の手は己の手に異ならざるなり。腋肋足底は、己之を摸れば癢からず、而して人之を摸れば則ち癢し。補の齒は己の齒より大ならざるなり。己の齒は塞がるを覺えず、而して補の齒は塞がるを覺ゆ。
現代語訳
他人の手は自分の手と変わりません。脇や肋や足の裏は、自分で触っても痒くないのに、人が触れば痒くなります。入れ歯は自分の歯より大きくありません。自分の歯は詰まった感じがしないのに、入れ歯は詰まった感じがします。
解説
同じ刺激でも、自分からか他人からかで感じ方が変わることを示します。自分で脇を触っても痒くなく、入れ歯は元の歯と同じ大きさでも詰まって感じる。物理的には同じでも、自分のものかどうかが感覚を変えています。前に出てきた、自分の頭は重くないという段と同じ主題が、別の例で確かめられた一段です。物理的には同じでも、自分のものかで感覚が変わります。
この章句が説くこと
自他感覚痒み入れ歯違和感
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