呻吟語 / 外篇・廣喻・水を汲み火を撲つ
人有夫婦將他出者,托僕守戶。愛子在牀,火延寢室。及歸,婦人震號,其夫環庭追僕而杖之。當是時也,汲水撲火,其兒尚可免與!
新字:人有夫婦将他出者,托僕守戸。愛子在牀,火延寝室。及帰,婦人震号,其夫環庭追僕而杖之。当是時也,汲水撲火,其児尚可免与!
書き下し
人に夫婦の將に他出せんとする者有り。僕に托して戶を守らしむ。愛子牀に在り、火寢室に延ぶ。歸るに及び、婦人震號し、其の夫は庭を環りて僕を追ひて之を杖つ。是の時に當たり、水を汲み火を撲たば、其の兒尚ほ免る可けんや。
現代語訳
ある夫婦が外出しようとして、下男に留守を頼みました。可愛い子が寝床にいて、火が寝室に燃え広がりました。帰ってみて、妻は泣き叫び、夫は庭を回って下男を追いかけ棒で打ちました。この時に水を汲んで火を消していたら、その子はまだ助かったのではないでしょうか。
解説
火事の場で、泣き叫ぶ妻と下男を打つ夫を描きます。どちらも起こったことへの反応で、まだ助かるかもしれない子には向かっていません。そして最後に静かな問いが置かれます。水を汲んで消していたら助かったのでは、と。責任追及と感情の発散が、救助の時間を奪うという構図が、極端な場面で示されています。責任追及と感情の発散が、救助の時間を奪います。
この章句が説くこと
火事責任追及感情救助優先
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