呻吟語 / 外篇・廣喻・知る、翁の素を惡むを
一人多避忌,家有慶賀,一切尚紅而惡素。客有乘白馬者,不令入廄。閒有少年面白者,善諧謔,以朱塗面入,主人驚問,生曰:「知翁之惡素也,不敢以白面取罪。」滿座大笑,主人愧而改之。
新字:一人多避忌,家有慶賀,一切尚紅而悪素。客有乗白馬者,不令入廄。閒有少年面白者,善諧謔,以朱塗面入,主人驚問,生曰:「知翁之悪素也,不敢以白面取罪。」満座大笑,主人愧而改之。
書き下し
一人多く避忌す。家に慶賀有らば、一切紅を尚びて素を惡む。客に白馬に乘る者有らば、廄に入らしめず。閒に少年の面白き者有り、諧謔を善くす。朱を以て面に塗りて入る。主人驚きて問ふ。生曰く、「知る、翁の素を惡むを。敢へて白面を以て罪を取らず」と。滿座大いに笑ひ、主人愧ぢて之を改む。
現代語訳
ある人がひどく忌み事を避けました。家に祝い事があれば、すべて赤を尊び白を嫌います。客で白馬に乗ってきた者があれば、厩に入れさせません。そこに顔の白い若者がいて、冗談が上手でした。顔に朱を塗って入ってきました。主人が驚いて尋ねました。若者は言いました。ご主人が白を嫌うと知っています。白い顔で罪を得るわけにいきません。満座は大笑いし、主人は恥じて改めました。
解説
忌み事を徹底する主人に、若者が顔を朱に塗って現れる話です。主人の理屈をそのまま突き詰めれば、白い顔も駄目になります。言い負かすのではなく、その通りにやってみせることで矛盾が見えるわけです。そして満座が笑い、主人は恥じて改めました。説得の仕方として、笑いが有効に働いた例になっています。説得の仕方として、笑いが有効に働いた例です。
この章句が説くこと
忌み事徹底突き詰め笑い改める
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