呻吟語 / 外篇・廣喻・各おの愛する所有り
以佳兒易一跛子,子之父母不從,非不辨美惡也,各有所愛也。
新字:以佳児易一跛子,子之父母不従,非不弁美悪也,各有所愛也。
書き下し
佳兒を以て一跛子に易へんとするに、子の父母從はず。美惡を辨ぜざるに非ざるなり。各おの愛する所有ればなり。
現代語訳
立派な子と足の悪い子を取り替えようとしても、その子の父母は応じません。美醜を見分けられないのではありません。それぞれ愛するものがあるからです。
解説
優劣が明らかな交換が成立しない理由を、愛着に求めます。父母は良し悪しを分からないのではありません。分かったうえで自分の子を取ります。価値の比較が通用しない領域があるということです。前に出てきた、自分の子は自分が憐れむという段と同じ人情で、交換不能なものの存在が示されています。価値の比較が通用しない領域がある、ということです。分かったうえで、父母は自分の子を取ります。
この章句が説くこと
交換愛着優劣比較不能父母
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