呻吟語 / 外篇・廣喻・花にして淡素なる
嘗與友人游圃,品題眾芳,渠以豔色濃香為第一。余曰:「濃香不如清香,清香不若無香之為香;豔色不如淺色,淺色不如白色之為色。」友人曰:「既謂之花,不厭濃豔矣。」余曰:「花也,而能淡素,豈不尤難哉?若松柏本淡素,則不須稱矣。」
新字:嘗与友人游圃,品題衆芳,渠以艶色濃香為第一。余曰:「濃香不如清香,清香不若無香之為香;艶色不如浅色,浅色不如白色之為色。」友人曰:「既謂之花,不厭濃艶矣。」余曰:「花也,而能淡素,豈不尤難哉?若松柏本淡素,則不須称矣。」
書き下し
嘗て友人と圃に游び、眾芳を品題す。渠は豔色濃香を以て第一と為す。余曰く、「濃香は清香に如かず。清香は無香の香為るに若かず。豔色は淺色に如かず。淺色は白色の色為るに如かず」と。友人曰く、「既に之を花と謂はば、濃豔を厭はず」と。余曰く、「花にして、能く淡素なるは、豈に尤も難からずや。若し松柏は本と淡素ならば、則ち稱するを須ひざるなり」と。
現代語訳
かつて友人と庭園に遊び、花々を品定めしました。彼は艶やかな色と濃い香りを第一としました。私は言いました。濃い香りは清らかな香りに及ばず、清らかな香りは香りの無いことが香りであるのに及びません。艶やかな色は淡い色に及ばず、淡い色は白が色であるのに及びません。友人は言いました。花と言うからには、濃く艶やかなのを厭いません。私は言いました。花でありながら淡く素朴であるのは、いっそう難しいのではないでしょうか。松や柏はもともと淡く素朴なので、称えるには及びません。
解説
花の品定めから、価値の話に進みます。濃い香りより清い香り、清い香りより無香。艶やかな色より淡い色、淡い色より白。友人は花なのだから濃くてよいと返します。そこで答えが示されます。花でありながら淡素であるのが難しい。もともと素朴な松柏では称えるに値しません。素質に逆らう自制が、最も貴いとされています。素質に逆らう自制が、最も貴いとされています。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
花濃淡無香淡素難しさ
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