呻吟語 / 外篇・廣喻・分寸の長を出だす
余燕服長公服少許,余惡之,令差短焉。或曰:「何害?」余曰:「為下者出其分寸長,以形在上者乏短,身之災也,害孰大焉?」
新字:余燕服長公服少許,余悪之,令差短焉。或曰:「何害?」余曰:「為下者出其分寸長,以形在上者乏短,身之災也,害孰大焉?」
書き下し
余が燕服は長公の服より少許長し。余之を惡み、差短からしむ。或るひと曰く、「何の害あらん」と。余曰く、「下と為る者其の分寸の長を出だし、以て在上者の乏短を形すは、身の災ひなり。害孰れか焉より大ならん」と。
現代語訳
私の普段着が、上司の服より少しだけ長くありました。私はこれを嫌って、短く直させました。ある人が言いました。何の害がありますか。私は言いました。下の者がわずかな長さを見せて、上の者の短さを際立たせるのは、身の災いです。これより大きな害があるでしょうか。
解説
服の丈がわずかに上司より長いことを嫌い、直させた話です。ある人は何の害があるかと問いますが、答えは明快です。下の者が上の者の短さを際立たせるのは身の災いになります。分寸という最小の差でも同じです。前に出てきた、上が削りすぎれば下に迫るという段と裏返しで、こちらは下の側の配慮になっています。分寸という最小の差でも、同じだとされています。
この章句が説くこと
服分寸上下際立たせる災い
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