呻吟語 / 外篇・廣喻・膾炙徹して蠅は太羹に趨く
膾炙之處,蠅飛滿幾,而太羹玄酒不至。膾炙日增,而欲蠅之集太羹玄酒,雖驅之不至也。膾炙徹而蠅不得不趨於太羹玄酒矣。是故返樸還淳,莫如崇儉而禁其可欲。
新字:膾炙之処,蠅飛満幾,而太羹玄酒不至。膾炙日增,而欲蠅之集太羹玄酒,雖駆之不至也。膾炙徹而蠅不得不趨於太羹玄酒矣。是故返樸還淳,莫如崇倹而禁其可欲。
書き下し
膾炙の處は、蠅飛びて幾に滿つ。而して太羹玄酒には至らず。膾炙日に增して、蠅の太羹玄酒に集まらんことを欲するも、之を驅ると雖も至らざるなり。膾炙徹して蠅は太羹玄酒に趨かざるを得ず。是の故に樸に返り淳に還るは、儉を崇びて其の欲す可きを禁ずるに如くは莫し。
現代語訳
なますや炙り肉のあるところは、蠅が飛んで机に満ちます。しかし味を付けない羹や水には寄りません。なますや炙り肉を日に増やしておいて、蠅に羹や水へ集まらせようとしても、追い立てても行きません。なますや炙り肉を片付ければ、蠅は羹や水へ行かざるを得ません。だから素朴さに返るには、倹約を尊んで欲しくなるものを禁じるに越したことはありません。
解説
蠅が何に集まるかを、餌の有無で説明します。ご馳走がある限り、追い立てても味の無い羹には行きません。片付ければ行かざるを得ません。人の欲も同じで、説いて向きを変えるより、対象を取り除くほうが確かだということです。前に出てきた、贅沢の端を開かないという段と同じ主張が、蠅の行動で示された一段になっています。
この章句が説くこと
蠅餌禁欲倹約返樸
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