呻吟語 / 外篇・廣喻・膾炙の人と腥を言ふ
日食膾炙者,日見其美,若不可一日無。素食三月,聞肉味只覺其腥矣。今與膾炙人言腥,豈不訝哉?
新字:日食膾炙者,日見其美,若不可一日無。素食三月,聞肉味只覚其腥矣。今与膾炙人言腥,豈不訝哉?
書き下し
日に膾炙を食らふ者は、日に其の美を見る。若し一日も無かる可からざるがごとし。素食すること三月、肉の味を聞けば只だ其の腥を覺ゆるのみ。今膾炙の人と腥を言はば、豈に訝らざらんや。
現代語訳
毎日なますや炙り肉を食べる者は、日ごとにそのうまさを感じます。一日も無しではいられないかのようです。三か月精進すれば、肉の匂いを嗅いでただ生臭いと感じるだけです。今、なますや炙り肉を食べている人に生臭いと言えば、怪しまないでしょうか。
解説
同じ物への感じ方が、習慣で変わることを示します。毎日食べればうまく、三か月離れれば生臭い。どちらが本当かではなく、立っている場所で違うということです。そして最後に、離れた側が食べている側に語っても通じないと言われます。体験の差が言葉を通じなくさせる構図で、前に出てきた、見識の差では通じないという段と同じです。
この章句が説くこと
習慣味覚精進体験差通じない
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