呻吟語 / 外篇・廣喻・上等の手段は賊を用ふ
上等手段用賊,其次拿賊,其次躲著賊走。
書き下し
上等の手段は賊を用ひ、其の次は賊を拿へ、其の次は賊を躲け著けて走る。
現代語訳
上等の手段は賊を用い、その次は賊を捕らえ、その次は賊を避けて逃げます。
解説
賊への対処を、三段に順位づけます。最上は用いること、次は捕らえること、最下は避けること。捕らえるのが最上でない点が要点で、除くより使うほうが上とされます。前に出てきた、聖人だけが小人を用いられるという段と同じ立場です。難しさの順でもあり、上に行くほど腕が要ります。自分の手がどの段にあるかを測れる一段です。
この章句が説くこと
賊用いる捕らえる避ける順位
関連する章句
-
『呻吟語』外篇・治道・上德は默成して意を示すのみ上德は默成して意を示すのみ。其の次は觀を示して其の自然を動かす。其の次は聲色を示す。其の次は是非を示して、當然を知らしむ。其の次は毀譽を示して、然らざるを得ざらしむ。其の次は禍福を示す。
-
『呻吟語』内篇・應務・事の賊なり事に先んじては體怠り神昏く、事手に到れば手忙しく腳亂れ、事過ぐれば心安く意散ず。此れ事の賊なり。兵家は尤も此に利あらず。
-
『呻吟語』外篇・品藻・盜は心を瞞し己を昧ますより大なるは莫し盜は心を瞞し己を昧ますより大なるは莫し。而して竊劫は之に次ぐ。
-
『呻吟語』外篇・治道・位以て其の惡を濟す政を為す者は、行ふを得れば即ち行ふの謂に非ず、行ふ可きに從ひて則ち行ふのみ。行ふを得るの勢ひ有りて、行ふ可きの理に昧ければ、是れ位以て其の惡を濟すなり。君子は之を賊と謂ふ。
-
『呻吟語』外篇・品藻・上才は為して為さず上才は為して為さず、中才は只だ有為を見る、下才は一も為す所無し。
-
『呻吟語』外篇・治道・其の奮を蓄へて之を逞しからしめず治世は端人正士を用ひ、衰世は庸夫俗子を用ひ、亂世は憤夫佞人を用ふ。憸夫佞人盛んにして、英雄豪傑の士伸びず。夫れ惟だ伸びざるなり、而して一たび伸びんことに奮へば、遂に天下を亡ぼすに至る。故に明主上に在らば必ず先づ天下の情を平らかにし、將に英雄豪傑をして其の心志を服せしめ、我が羈掗に就かしめ、其の奮を蓄へて之を逞しからしめず。