呻吟語 / 外篇・品藻・盜は心を瞞し己を昧ますより大なるは莫し
盜莫大於瞞心昧己,而竊劫次之。
新字:盗莫大於瞞心昧己,而竊劫次之。
書き下し
盜は心を瞞し己を昧ますより大なるは莫し。而して竊劫は之に次ぐ。
現代語訳
盗みで、自分の心を欺き自分をくらますことより大きなものはありません。物を盗み奪うのはその次です。
解説
盗みの中で、自分を欺くことを最上位に置きます。物を盗むのは二番目。前に出てきた、学問の秘訣は盗人にならないことで、盗人とは自分を欺く心だという段と同じ主張です。犯罪としての盗みより、自欺のほうが大きいという順位づけが、ここでは簡潔に示されています。犯罪としての盗みより、自欺のほうが大きいという順位です。
この章句が説くこと
盗自欺順位窃盗心
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・修身・心に城池有り、口に門戶有り心は城池有るを要し、口は門戶有るを要す。城池有れば則ち出でず、門戶有れば則ち縱にせず。
-
『呻吟語』外篇・天地・心は就ち是れ天なり心は就ち是れ天なり。心を欺くは便ち是れ天を欺くなり。心に事ふるは便ち是れ天に事ふるなり。更に須らく蒼蒼の上面に向かひて討むべからず。
-
『呻吟語』内篇・修身・心を大にし虛にし平にし潛め定む其の心を大にして天下の物を容れ、其の心を虛にして天下の善を受け、其の心を平にして天下の事を論じ、其の心を潛めて天下の理を觀、其の心を定めて天下の變に應ず。
-
『正法眼蔵随聞記』巻一示して云く、人は思ひ切て命をも棄て、身肉手足をも截ことは中々せくるゝなり、然あれば世間の事を思ふに、名利執心の為にも多くかくの如く思ひ切るなり、只依り来る時に、事に触れ物に随て、心品を調ふること難きなり、学者身命を捨ると思ふて、且くおしゝづめて、云ふべきことをも、修すべきことをも、道理に順ずるか順せざるかと案じて、道理に順せば云ひ、若くは行じもすべきなり、
-
『呻吟語』内篇・存心・心は天平のごとくならんことを要す心は天平のごとくならんことを要す。物を稱る時、物は忙しくして衡は忙しからず。物去る時、即ち懸空して此に在り。只だ恁く靜虛中正なれば、何等ぞ自在ならん。
-
『呻吟語』外篇・人情・心は二三を怕れ、情は一を怕る心は二三を怕れ、情は一を怕る。