呻吟語 / 外篇・廣喻・到り來たれば我と一般なり
余少憩車中,既下車,戲之曰:「君費力如許,到來與我一般。」
新字:余少憩車中,既下車,戯之曰:「君費力如許,到来与我一般。」
書き下し
余少しく車中に憩ふ。既に車を下り、之に戲れて曰く、「君力を費やすこと許の如し。到り來たれば我と一般なり」と。
現代語訳
私は少し車の中で休んでいました。車を下りてから、戯れて言いました。あなたはこれほど力を費やしたが、着いてみれば私と同じですね。
解説
前の段を受けて、著者の側の過ごし方が示されます。休んでいただけです。そして到着してから戯れの一言を掛けます。同じ時間に同じ場所に着くのに、片方は消耗し片方は休んでいた。焦っても結果は変わらないという主張が、押しつけではなく冗談の形で示されているのが巧みなところです。押しつけではなく、冗談の形で示されています。同じ時間に着くのに、片方だけが消耗しました。
この章句が説くこと
休息焦り同着消耗冗談
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・養生・篋に在れば香は韞む篋に在れば香は韞み、几に在れば香は損し、爐に在れば香は燼く。
-
『呻吟語』外篇・廣喻・兄は便宜を討り得ること多し僚友笑ひて曰く、「余は口津且に竭きんとす。而して咽は火の若し。始めて信ず、兄は便宜を討り得ること多きを」と。
-
『呻吟語』内篇・應務・君子は人に敵して以て自ら全うするを欲せず兩つ相磨蕩すれば、皆な損する有りて俱に全き無し。特だ大小久近のみ。利刃終日斷割すれば、必ず缺折の時有り。砥石終日磨礱すれば、亦た虧消の漸有り。故に君子は人に敵して以て自ら全うするを欲せざるなり。
-
『呻吟語』内篇・應務・只是れ力を費やさず聖人の掀天揭地の事業は只管做す、只だ是れ力を費やさず。害を除き惡を去るは只管做す、只だ是れ氣を動かさず。險を蹈み艱に投ずるは只管做す、只だ是れ心を動かさず。
-
孫子・作戦篇力屈き財殫き、中原内は家に虚し。百姓の費、十に其の七を去り、公家の費、破車罷馬、甲冑矢弩、戟楯蔽櫓、丘牛大車、十に其の六を去る。
-
孫子・作戦篇師に近き者は貴く売る。貴く売れば則ち百姓財竭き、財竭くれば則ち丘役に急なり。