呻吟語 / 外篇・廣喻・聲愈いよ厲しく意迫切なり
澤潞之役,餘與僚友並肩輿。日莫矣,僚友問輿夫:「去路幾何?」曰:「五十里。」僚友憮然。少間又問:「尚有幾何?」曰:「四十五里。」如此者數問,而聲愈厲,意迫切不可言,甚者怒罵。
新字:沢潞之役,余与僚友並肩輿。日莫矣,僚友問輿夫:「去路幾何?」曰:「五十里。」僚友憮然。少間又問:「尚有幾何?」曰:「四十五里。」如此者数問,而声愈厲,意迫切不可言,甚者怒罵。
書き下し
澤潞の役、余僚友と輿を並ぶ。日莫れんとす。僚友輿夫に問ふ、「去路幾何ぞ」と。曰く、「五十里」と。僚友憮然たり。少間又た問ふ、「尚ほ幾何か有る」と。曰く、「四十五里」と。此の如き者數しば問ひて、聲愈いよ厲しく、意迫切にして言ふ可からず。甚だしき者は怒罵す。
現代語訳
沢潞への旅で、私は同僚と輿を並べていました。日が暮れかかっています。同僚が輿の担ぎ手に尋ねました。あとどれくらいか。答えて言う。五十里。同僚は気落ちしました。しばらくしてまた尋ねました。まだどれくらいあるか。答えて言う。四十五里。こうして何度も尋ね、声はいっそう厳しくなり、気持ちは切迫して言いようがありません。ひどい時は怒って罵ります。
解説
旅先の実際の光景を記します。同僚が繰り返し残りの距離を尋ね、五里しか減っていないと知って苛立ちます。そして声が厳しくなり、ついには罵る。急いでも距離は変わらないのに、尋ねるほど苦しくなる様子が細かく描かれています。次の段で、著者自身の過ごし方が対比として示されます。急いでも距離は変わらないのに、尋ねるほど苦しい。次の段で、著者自身の過ごし方が対比されます。
この章句が説くこと
旅距離苛立ち繰り返し罵る
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