呻吟語 / 内篇・應務・囿見は狃る可からず
居鄉而囿於數十里之見,硜硜然守之也,百攻不破,及游大都,見千里之事,茫然自失矣。居今而囿於千萬人之見,硜硜然守之也,百攻不破,及觀墳典,見千萬年之事,茫然自失矣。是故囿見不可狃,狃則狹,狹則不足以善天下之事。
新字:居鄉而囿於数十里之見,硜硜然守之也,百攻不破,及游大都,見千里之事,茫然自失矣。居今而囿於千万人之見,硜硜然守之也,百攻不破,及観墳典,見千万年之事,茫然自失矣。是故囿見不可狃,狃則狭,狭則不足以善天下之事。
書き下し
鄉に居りて數十里の見に囿はれ、硜硜然として之を守らば、百攻するも破れず。大都に游び、千里の事を見るに及べば、茫然として自ら失ふ。今に居りて千萬人の見に囿はれ、硜硜然として之を守らば、百攻するも破れず。墳典を觀、千萬年の事を見るに及べば、茫然として自ら失ふ。是の故に囿見は狃る可からず。狃れば則ち狹く、狹ければ則ち以て天下の事を善くするに足らず。
現代語訳
郷里にいて数十里の見聞に囲われ、頑なにそれを守れば、百度攻めても破れません。しかし大きな都に遊び、千里の事を見るに及べば、呆然として自分を見失います。今の世にいて千万人の見聞に囲われ、頑なにそれを守れば、百度攻めても破れません。しかし古い書を読み、千万年の事を見るに及べば、呆然として自分を見失います。だから囲われた見聞に馴れてはいけません。馴れれば狭くなり、狭ければ天下の事をうまく運ぶには足りません。
解説
狭い見聞が頑固さを生む仕組みを、空間と時間の二軸で示します。数十里の見聞は都を見るまで破れず、今の世の常識は古い書を読むまで破れない。破れないのは正しいからではなく、比べる相手がいないからです。そして馴れることを戒めます。視野を広げる手段として、旅と古典が挙げられているのが具体的です。視野を広げる手段として、旅と古典が挙げられています。
この章句が説くこと
視野頑固旅古典比較
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