呻吟語 / 内篇・應務・徑情直行を怕る
譬之行道然,循曲從遠順其成跡,而不敢以欲速適已之便者,勢不可也。若必欲簡捷直遂,則兩京程途正以繩墨,破城除邑,塞河夷山,終有數百里之近矣,而人情事勢不可也。是以處事要遜以出之,而學者接物怕徑情直行。
新字:譬之行道然,循曲従遠順其成跡,而不敢以欲速適已之便者,勢不可也。若必欲簡捷直遂,則両京程途正以縄墨,破城除邑,塞河夷山,終有数百里之近矣,而人情事勢不可也。是以処事要遜以出之,而学者接物怕径情直行。
書き下し
之を行道に譬ふれば然り。曲に循ひ遠きに從ひ其の成跡に順ひて、敢へて速やかならんことを欲し己が便に適はざるは、勢の不可なればなり。若し必ず簡捷直遂ならんと欲せば、則ち兩京の程途は正に繩墨を以てし、城を破り邑を除き、河を塞ぎ山を夷せば、終に數百里の近き有らん。而れども人情事勢の不可なり。是を以て事に處するは遜して以て之を出だすを要し、學者の物に接するは徑情直行を怕る。
現代語訳
道を行くのにたとえれば同じことです。曲がりくねりに従い遠回りをし、できあがった跡に順って、速さを求め自分の都合に合わせようとしないのは、勢いがそれを許さないからです。もしどうしても近道でまっすぐ行こうとするなら、二つの都のあいだの道のりを墨縄で引き、城を壊し邑を除き、河を塞ぎ山を平らにすれば、結局は数百里近くなります。しかし人の情と事の勢いがそれを許しません。だから事に処するにはへりくだって出すことが必要で、学ぶ者が物に接するときは、情のままにまっすぐ行くことを恐れます。
解説
近道の代価を、都市間の道路で計算してみせます。直線で引けば数百里短くなるが、城も邑も河も山も壊すことになる。物理的には可能でも、人情と事勢が許さないのです。回り道は非効率ではなく、壊さないための費用だと分かります。徑情直行という言葉が、ここで最も具体的に説明された一段になっています。回り道は非効率ではなく、壊さないための費用なのです。
この章句が説くこと
迂回近道代価人情直行
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