呻吟語 / 内篇・應務・爛亂の絲を理む
當繁迫事,使聾瞽人;值追逐時,騎瘦病馬;對昏殘燭,理爛亂絲,而能意念不躁,聲色不動,亦不後事者,其才器吾誠服之矣。
新字:当繁迫事,使聾瞽人;值追逐時,騎瘦病馬;対昏残燭,理爛乱糸,而能意念不躁,声色不動,亦不後事者,其才器吾誠服之矣。
書き下し
繁迫の事に當たりて、聾瞽の人を使ひ、追逐の時に值ひて、瘦病の馬に騎り、昏殘の燭に對して、爛亂の絲を理めて、而も能く意念躁がず、聲色動かず、亦た事に後れざる者は、其の才器吾誠に之に服す。
現代語訳
込み入って差し迫った事に当たって、耳も目も利かない人を使い、追いかけられている時に痩せた病み馬に乗り、消えかけた灯の下でもつれ切った糸をほどく。それでいて思いは騒がず、声も顔色も動かず、しかも事に遅れない。そういう人の器量には、私は心から服します。
解説
最悪の条件を四つ重ねてみせます。差し迫った事、使えない人手、弱った馬、暗い灯り。どれも本人のせいではない外的条件ばかりです。そのうえで三つの条件が課されます。思いが騒がず、声色が動かず、遅れない。条件が悪いから仕方ないと言えない場面で、なお平静を保てるかどうか。器量の試験の設定として、これ以上ないほど過酷な一段になっています。
この章句が説くこと
悪条件平静器量試験遅延
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