呻吟語 / 外篇・廣喻・七尺の軀は顧つて一履に如かざらんや
七尺之軀顧不如一履哉?乃沉之滔天情慾之海,拼於焚林暴怒之場,粉身碎體甘心焉而不顧,悲夫!
新字:七尺之軀顧不如一履哉?乃沈之滔天情慾之海,拼於焚林暴怒之場,粉身砕体甘心焉而不顧,悲夫!
書き下し
七尺の軀は顧つて一履に如かざらんや。乃ち之を滔天情慾の海に沉め、焚林暴怒の場に拼ち、身を粉にし體を碎きて心に甘んじて顧みず。悲しいかな。
現代語訳
七尺の体が、かえって一足の履物に及ばないのでしょうか。それでいてこの身を天を覆う情欲の海に沈め、林を焼く暴怒の場に投げ出し、身を粉にし体を砕いても甘んじて顧みません。悲しいことです。
解説
前の二段を受けて、比較が突きつけられます。履物を汚すまいと足を上げるのに、体そのものは情欲の海に沈め暴怒の場に投げ出す。守る対象の重さが完全に逆転しています。しかも身を粉にしても顧みない、と。無意識の用心と、意識的な無謀を並べることで、その落差が露わになる構成になっています。無意識の用心と、意識的な無謀が並べられます。
この章句が説くこと
七尺履物逆転情欲暴怒
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