呻吟語 / 外篇・廣喻・木を饋る者有り
人有饋一木者,家僮曰:「留以為梁。」余曰:「木小不堪也。」
書き下し
人に一木を饋る者有り。家僮曰く、「留めて以て梁と為さん」と。余曰く、「木小さくして堪へざるなり」と。
現代語訳
ある人が一本の木を贈ってくれました。下働きの子が言いました。取っておいて梁にしましょう。私は言いました。木が小さくて耐えられない。
解説
贈られた一本の木をめぐる問答の始まりです。梁にしようという提案に、小さすぎると答えます。次の段で、今度は棟にという提案が出て、大きすぎると答えることになります。同じ木への正反対の評価が、どう説明されるのかが次に示されます。日常の小さなやり取りから議論を起こす、広喩篇らしい入り方です。日常のやり取りから議論を起こす、入り方です。同じ木への正反対の評価が、次の段で説明されます。
この章句が説くこと
木梁小さい問答材
関連する章句
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『呻吟語』外篇・廣喻・物は各おの宜しき用有り僮曰く、「留めて以て棟と為さん」と。余曰く、「木大にして宜しからざるなり」と。僮笑ひて曰く、「木は一なり。忽ち其の大を病み、又た其の小を病む」と。余曰く、「小子之を聽け。物は各おの宜しき用有り、言は各おの攸當有り。豈に惟だ木のみならんや」と。他日余の為に炭を生じ爐に滿ちて人を烘る。余曰く、「太だ多し」と。乃ち盡く之を溫め、星星たる三二點を留め、明らかならんと欲し滅せんと欲す。余曰く、「太だ少なし」と。僮怨みて曰く、「火は一なり。既に其の多きを嫌ひ、又た其の少なきを嫌ふ」と。余曰く、「小子之を聽け。情は各おの適する所有り、事は各おの量る所有り。豈に惟だ火のみならんや」と。
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『呻吟語』外篇・廣喻・造物の象木一段を發去して、神櫝一、鏡台一、腳桶一を造る。錫五斤にて、香爐一、酒壺一、溺器一を造る。此れ造物の象なり。一段の木、五斤の錫は、初め貴賤榮辱の等無し。賦畀の初め心無くして、形を成すの後に各おの殊なる。造物者も亦た知らず、之を為す莫くして為るのみ。木の造物の還らざる者は、貧賤憂慼なり。當に有生の初めに安んずべし。錫の造物の循環する者は、富貴福澤なり。恃みて固有の物と為す莫かれ。
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『呻吟語』外篇・廣喻・其の托する所然るなり窗間の一紙は、能く拔木の風を障ふ。胸前の一瓠は、拍天の浪に溺れず。其の托する所然るなり。
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