呻吟語 / 外篇・廣喻・二者相ひ誚む可からず
長戟利於錐,而戟不可以為錐;猛虎勇於狸,而虎不可以為狸。用小者無取於大,猶用大者無取於小,二者不可以相誚也。
書き下し
長戟は錐より利なり。而して戟は以て錐と為す可からず。猛虎は狸より勇なり。而して虎は以て狸と為す可からず。小を用ふる者は大に取る無く、猶ほ大を用ふる者は小に取る無きがごとし。二者は以て相ひ誚む可からざるなり。
現代語訳
長い戟は錐より鋭い。しかし戟を錐にはできません。猛虎は狸より勇ましい。しかし虎を狸にはできません。小さいものを使う場合は大きいものから取れず、大きいものを使う場合も小さいものから取れないのと同じです。二つは互いにそしり合えません。
解説
優劣と代替可能性を分けます。戟は錐より鋭くても錐の代わりになりません。虎は狸より勇ましくても狸の代わりになりません。優れているかどうかと、その場に合うかどうかは別だということです。だから二つはそしり合えません。前に出てきた、目は聴けず耳は見えないという段と同じ主張が、道具と動物で示されています。優れているかどうかと、合うかどうかは別です。
この章句が説くこと
戟錐虎狸優劣代替適所
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