呻吟語 / 外篇・廣喻・無用は有用の資
劍長三尺,用在一絲之銛刃;筆長三寸,用在一端之銳毫,其餘皆無用之羨物也。雖然,使劍與筆但有其銛者銳者焉,則其用不可施。則知無用者,有用之資;有用者,無用之施。易牙不能無爨子,歐冶不能無砧手,工輸不能無鑽廝。苟不能無,則與有用者等也,若之何而可以相病也?
新字:剣長三尺,用在一糸之銛刃;筆長三寸,用在一端之銳毫,其余皆無用之羨物也。雖然,使剣与筆但有其銛者銳者焉,則其用不可施。則知無用者,有用之資;有用者,無用之施。易牙不能無爨子,欧冶不能無砧手,工輸不能無鑽廝。苟不能無,則与有用者等也,若之何而可以相病也?
書き下し
劍は長さ三尺なるも、用は一絲の銛刃に在り。筆は長さ三寸なるも、用は一端の銳毫に在り。其の餘は皆な無用の羨物なり。然りと雖も、劍と筆とをして但だ其の銛なる者銳なる者のみ有らしめば、則ち其の用施す可からず。則ち知る、無用なる者は、有用の資なり。有用なる者は、無用の施なり。易牙も爨子無き能はず、歐冶も砧手無き能はず、工輸も鑽廝無き能はず。苟しくも無き能はずんば、則ち有用なる者と等し。之を若何にして以て相ひ病ましむ可けんや。
現代語訳
剣は長さ三尺でも、用は一筋の鋭い刃にあります。筆は長さ三寸でも、用は先端の鋭い毛にあります。残りはみな無用の余り物です。とはいえ、剣と筆に鋭い部分だけがあったなら、その用は施せません。そこで分かります。無用なものは有用なものの資であり、有用なものは無用なものが施すものです。易牙も竈の番なしにはやれず、欧冶も金床を扱う者なしにはやれず、公輸も錐を使う下働きなしにはやれません。欠かせないのなら、有用な者と同等です。どうして互いに貶め合えるでしょうか。
解説
剣と筆を例に、働くのは先端だけだと示します。しかし先端だけでは使えません。だから無用な部分が有用な部分を支えているわけです。そして人の例に移ります。名料理人にも竈番、名刀工にも金床係、名工匠にも下働きが要る。欠かせないなら同等だという結論で、貶め合う理由が無いとされます。広喩篇の冒頭にふさわしい一段です。
この章句が説くこと
剣筆先端支え無用同等
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