呻吟語 / 外篇・廣喻・一旦とは千日の積なり
元氣已虛,而血肉未潰,飲食起居不甚覺也,一旦外邪襲之,溘然死矣。不怕千日怕一旦,一旦者,千日之積也。千日可為,一旦不可為矣。故慎於千日,正以防其一旦也。有天下國家者,可惕然懼矣。
新字:元気已虚,而血肉未潰,飲食起居不甚覚也,一旦外邪襲之,溘然死矣。不怕千日怕一旦,一旦者,千日之積也。千日可為,一旦不可為矣。故慎於千日,正以防其一旦也。有天下国家者,可惕然懼矣。
書き下し
元氣已に虛にして、血肉未だ潰えずんば、飲食起居甚だしくは覺えざるなり。一旦外邪之を襲はば、溘然として死せん。千日を怕れずして一旦を怕る。一旦とは、千日の積なり。千日は為す可く、一旦は為す可からず。故に千日に慎むは、正に以て其の一旦を防ぐなり。天下國家を有つ者、惕然として懼る可し。
現代語訳
元の気がすでに虚しくても、血と肉がまだ崩れていなければ、飲食も起居もさほど変わったと感じません。ある日外の邪気が襲えば、たちまち死にます。千日を恐れずに一日を恐れます。しかし一日とは千日の積み重ねです。千日のあいだは手を打てますが、一日になれば手が打てません。だから千日のあいだ慎むのは、まさにその一日を防ぐためです。天下国家を持つ者は、はっとして恐れるべきです。
解説
体の衰えを、自覚できない形で進むものとして描きます。気が虚していても外見が崩れなければ気づきません。そして外の邪気が来た日に倒れる。人が恐れるのはその一日ですが、それは千日の積み重ねです。手を打てるのは千日のほうで、一日になれば打てません。前に出てきた、日ごろの病を一日のせいにするという段と同じ主題です。
この章句が説くこと
元気自覚なし一旦千日予防
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