呻吟語 / 外篇・廣喻・積漸の二字
天下之勢,積漸成之也。無忽一毫輿羽拆軸者,積也。無忽寒露尋至堅冰者,漸也。自古天下國家、身之敗亡,不出積漸二字。積之微漸之始,可為寒心哉!
新字:天下之勢,積漸成之也。無忽一毫輿羽拆軸者,積也。無忽寒露尋至堅冰者,漸也。自古天下国家、身之敗亡,不出積漸二字。積之微漸之始,可為寒心哉!
書き下し
天下の勢ひは、積漸之を成すなり。一毫輿羽の軸を拆るを忽せにする無かれ、積なり。寒露の堅冰に尋ぎ至るを忽せにする無かれ、漸なり。古より天下國家、身の敗亡は、積漸の二字を出でず。積の微、漸の始めは、寒心と為す可きかな。
現代語訳
天下の勢いは、積み重なりとじわじわが作ります。毛ほどの羽を載せて軸が折れることを忽せにしてはいけません。積み重なりです。寒露が続いて堅い氷に至ることを忽せにしてはいけません。じわじわです。昔から天下国家も身も、敗れ亡ぶのは積と漸の二字を出ません。積の微かなところ、漸の始めは、背筋が寒くなることです。
解説
崩壊の原因を、二字に絞ります。積と漸。積は量が重なること、漸は状態が変わっていくこと。羽の一枚で軸が折れる例と、寒露が堅氷になる例が当てられます。どちらも一つ一つは無視できる大きさです。そして国も身も、この二字の外に亡び方は無いとされます。始まりの段が最も恐ろしいと結ばれています。一つ一つは、無視できる大きさだという点が怖い。始まりの段が最も恐ろしいと、結ばれています。
この章句が説くこと
積漸羽堅氷始まり
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