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呻吟語 / 外篇・物理・生ずる所に相ひ忘る

火不自知其熱,水不自知其寒,鵬不自知其大,蟻不自知其小,相忘於所生也。

書き下し

火は自ら其の熱きを知らず、水は自ら其の寒きを知らず、鵬は自ら其の大なるを知らず、蟻は自ら其の小なるを知らず。生ずる所に相ひ忘るるなり。

現代語訳

火は自分が熱いことを知らず、水は自分が冷たいことを知らず、鵬は自分が大きいことを知らず、蟻は自分が小さいことを知りません。生まれついたものを互いに忘れているのです。

解説

生まれついた性質は自覚されない、と示します。火の熱さも水の冷たさも、比べる相手がいて初めて分かるものです。鵬の大きさも蟻の小ささも同じ。そして生まれついたものを忘れるという一句で締められます。自分の最も大きな特徴こそ、自分には見えないという構図で、自己認識の限界を自然の例で示した一段になっています。
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この章句が説くこと

自覚生得比較忘れる限界

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