呻吟語 / 外篇・物理・敗俗の書
或撮其要領,或類其雋腴,如《四書》、《六經集注》、《通簽》之類,此謂要書。當時務,中機宜,用之而物阜民安,功成事濟,此謂經世之書。言雖近理;而掇拾陳言,不足以羽翼經史,是謂贅書。醫技農卜,養生防患,勸善懲惡,是謂益人之書。無關於天下國家,無益於身心性命,語不根心,言皆應世,而妨當世之務,是謂無用之書。又不如贅佛老莊列,是謂病道之書。迂儒腐說,賢智偏言,是謂雜道之書,淫邪幻誕,機械誇張,是謂敗俗之書。有世道之責者,不毅然沙汰而芟鋤之,其為世教人心之害也不小。
新字:或撮其要領,或類其雋腴,如《四書》、《六経集注》、《通簽》之類,此謂要書。当時務,中機宜,用之而物阜民安,功成事済,此謂経世之書。言雖近理;而掇拾陳言,不足以羽翼経史,是謂贅書。医技農卜,養生防患,勧善懲悪,是謂益人之書。無関於天下国家,無益於身心性命,語不根心,言皆応世,而妨当世之務,是謂無用之書。又不如贅仏老荘列,是謂病道之書。迂儒腐説,賢智偏言,是謂雑道之書,淫邪幻誕,機械誇張,是謂敗俗之書。有世道之責者,不毅然沙汰而芟鋤之,其為世教人心之害也不小。
書き下し
或いは其の要領を撮み、或いは其の雋腴を類す。『四書』、『六經集注』、『通簽』の類の如し。此れを要書と謂ふ。時務に當たり、機宜に中り、之を用ひて物阜かに民安く、功成り事濟る。此れを經世の書と謂ふ。言は理に近しと雖も、陳言を掇拾して、以て經史を羽翼するに足らず、是れを贅書と謂ふ。醫技農卜、生を養ひ患ひを防ぎ、善を勸め惡を懲らす、是れを益人の書と謂ふ。天下國家に關はる無く、身心性命に益無く、語は心に根ざさず、言は皆な世に應じて、當世の務めを妨ぐ、是れを無用の書と謂ふ。又た贅に如かざるは佛老莊列、是れを病道の書と謂ふ。迂儒の腐說、賢智の偏言、是れを雜道の書と謂ふ。淫邪幻誕、機械誇張、是れを敗俗の書と謂ふ。世道の責有る者、毅然として沙汰して之を芟鋤せずんば、其の世教人心の害為るや小さからず。
現代語訳
要領を摘まみ、優れた部分を類別したもの。四書や六経集注や通鑑の類です。これを要書と言います。時の務めに当たり機に適い、用いれば物が豊かになり民が安らぎ、功が成り事が済む。これを世を経める書と言います。言葉は理に近くても、古い言を拾い集めるだけで経と史を助けるに足りない。これを贅書と言います。医術や技や農や占い、生を養い患いを防ぎ、善を勧め悪を懲らす。これを人を益する書と言います。天下国家に関わらず、身心性命に益が無く、言葉が心に根ざさず、みな世に調子を合わせ、当世の務めを妨げる。これを無用の書と言います。贅書にも及ばないのが仏老荘列で、これを道を病ませる書と言います。古臭い儒者の腐った説、賢く智ある者の偏った言、これを道を雑ぜる書と言います。淫らで邪で幻で出鱈目、仕掛けと誇張、これを俗を敗る書と言います。世の道に責任のある者が、毅然と選り分けて刈り取らなければ、世の教えと人の心への害は小さくありません。
解説
この章句が説くこと
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