呻吟語 / 外篇・物理・釘を入るるは堅からざるを恐る
入釘惟恐其不堅,拔釘推恐其不出。下鎖惟恐其不嚴,開鎖惟恐其不易。
新字:入釘惟恐其不堅,抜釘推恐其不出。下鎖惟恐其不厳,開鎖惟恐其不易。
書き下し
釘を入るるは惟だ其の堅からざるを恐れ、釘を拔くは推だ其の出でざるを恐る。鎖を下すは惟だ其の嚴ならざるを恐れ、鎖を開くは惟だ其の易からざるを恐る。
現代語訳
釘を打つときはただ堅くないことを恐れ、釘を抜くときはただ抜けないことを恐れます。錠を下ろすときはただ厳重でないことを恐れ、錠を開けるときはただ易しくないことを恐れます。
解説
同じ物に対する願いが、場面で正反対になると示します。打つときは抜けないことを望み、抜くときは抜けることを望む。錠も同じです。自分の立場が変われば、望むことも逆になります。人の願いが状況の関数でしかないという観察で、日常の道具を使って示されているぶん、言い逃れができない形になっています。日常の道具で示されるので、言い逃れができません。
この章句が説くこと
釘錠立場逆願い
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