呻吟語 / 外篇・物理・渾淪磅礡の氣質
得渾淪磅礡之氣質者,為山河,為巨體之物。得游散纖細之氣質者,為蠛蠓蚊蟻蠢動之蟲,為苔蘚萍蓬藂蔇之草。
新字:得渾淪磅礡之気質者,為山河,為巨体之物。得游散繊細之気質者,為蠛蠓蚊蟻蠢動之虫,為苔蘚萍蓬叢蔇之草。
書き下し
渾淪磅礡の氣質を得る者は、山河と為り、巨體の物と為る。游散纖細の氣質を得る者は、蠛蠓蚊蟻蠢動の蟲と為り、苔蘚萍蓬藂蔇の草と為る。
現代語訳
渾然として満ちあふれる気質を得たものは、山や河となり、大きな体の物となります。散り漂って細かい気質を得たものは、ぬかかや蚊や蟻のうごめく虫となり、苔や蘚や浮草や蓬や叢生の草となります。
解説
前の段に続けて、大きさの違いを気質で説明します。渾然と満ちた気質からは山河と大きな生き物が、散り漂う細かい気質からは小さな虫と草が生まれる。同じ材料の粗密で、規模の差が生じるという考え方です。大小を価値ではなく成り立ちの違いとして扱っており、物理篇らしい観察の整理になっています。大小を価値ではなく、成り立ちの違いとして扱います。同じ材料の粗密で、規模の差が生じるという考えです。
この章句が説くこと
気質粗密山河微小規模
関連する章句
-
『呻吟語』外篇・天地・天地位すれば則ち萬物育す氣に一毫の爽有らば、萬物陰かに一毫の病を受く。其の涼に宜しく、寒に宜しく、暑に宜しきも、皆な然らざる無し。飛潛動植、蠛蠓の物も、皆な然らざる無し。故に天地位すれば則ち萬物育し、王道平らかなれば則ち萬民遂ぐ。
-
『呻吟語』外篇・天地・何の氣の生ずる所なれば則ち何の氣に宜し萬物は天地の氣を得て以て生ず。溫に宜しき者有り、微溫に宜しき者有り、太溫に宜しき者有り、溫にして風なるに宜しき者有り、溫にして濕なるに宜しき者有り、溫にして燥なるに宜しき者有り、溫にして時に風き時に濕なるに宜しき者有り。何の氣の生ずる所なれば則ち何の氣に宜し。之を得れば則ち長養し、之を失へば則ち傷病す。
-
『呻吟語』外篇・物理・氣中の質を得る者は飛ぶ先づ天氣を得て生ずる者は、本上にして末下なり、人是れのみ。先づ地氣を得て生ずる者は、本下にして末上なり、草木是れのみ。氣中の質を得る者は、飛ぶ。質中の氣を得る者は、走る。
-
『呻吟語』外篇・天地・九氣を變じて中氣に歸す似氣は、五行假借の氣なり。大氣は、磅磅渾淪の氣なり。細氣は、纖蒙浮渺の氣なり。間氣は、積久充溢會合の氣なり。變氣は、偶爾遭逢の氣なり。常氣は、流行一定の氣なり。萬物各おの受くる所有りて以て生と為し、萬物各おの屬する所有りて以て類と為す。萬物自由ならざるなり。惟だ學問の功のみ、九氣を變じて以て中氣に歸す。
-
『呻吟語』内篇・性命・鍾する所有る者は、必ず似る所有り凡そ人の光明博大・渾厚含蓄は、是れ天地の氣。溫煦和平は、是れ陽春の氣。寬縱任物は、是れ長夏の氣。嚴凝斂約・喜刑好殺は、是れ秋の氣。沉藏固嗇は、是れ冬の氣。暴怒は、是れ震雷の氣。狂肆は、是れ疾風の氣。昏惑は、是れ霾霧の氣。隱恨留連は、是れ積陰の氣。從容溫潤は、是れ和風甘雨の氣。聰明洞達は、是れ青天朗月の氣。鍾する所有る者は、必ず似る所有り。
-
『呻吟語』内篇・修身・氣質の病は小、心術の病は大氣質の病は小さく、心術の病は大なり。