呻吟語 / 外篇・天地・何の氣の生ずる所なれば則ち何の氣に宜し
萬物得天地之氣以生,有宜溫者,有宜微溫者,有宜太溫者,有宜溫而風者,有宜溫而濕者,有宜溫而燥者,有宜溫而時風時濕者。何氣所生,則宜何氣,得之則長養,失之則傷病。
新字:万物得天地之気以生,有宜温者,有宜微温者,有宜太温者,有宜温而風者,有宜温而湿者,有宜温而燥者,有宜温而時風時湿者。何気所生,則宜何気,得之則長養,失之則傷病。
書き下し
萬物は天地の氣を得て以て生ず。溫に宜しき者有り、微溫に宜しき者有り、太溫に宜しき者有り、溫にして風なるに宜しき者有り、溫にして濕なるに宜しき者有り、溫にして燥なるに宜しき者有り、溫にして時に風き時に濕なるに宜しき者有り。何の氣の生ずる所なれば則ち何の氣に宜し。之を得れば則ち長養し、之を失へば則ち傷病す。
現代語訳
万物は天地の気を得て生まれます。温かいのがよいもの、少し温かいのがよいもの、大いに温かいのがよいもの、温かくて風があるのがよいもの、温かくて湿っているのがよいもの、温かくて乾いているのがよいもの、温かくて時に風があり時に湿るのがよいものがあります。どの気から生まれたかによって、どの気が合うかが決まります。それを得れば育ち、失えば傷み病みます。
解説
温という一つの条件だけで、七通りの好みを並べます。同じ温かさでも、風や湿りの有無で合う合わないが分かれる。生まれた時の気が、その後に必要な気を決めるという法則です。人の育ち方にもそのまま当てはまり、一律の環境を与えても合わない者が出るという含みが読み取れます。一律の環境を与えても、合わない者が出るということです。
この章句が説くこと
気適合多様育成環境
関連する章句
-
説苑・奉使晏子將に荊に使いせんとす。荊王之を聞き、左右に謂いて曰く、「晏子は賢人なり。今方に來らんとす。之を辱めんと欲す、何を以てせん。」左右對えて曰く、「其の來るに爲り、臣請う一人を縛りて王を過りて行かしめん。」是に於て荊王晏子と立ちて語る。一人を縛る有り、王を過りて行く。王曰く、「何を爲す者ぞ。」對えて曰く、「齊人なり。」王曰く、「何の坐ぞ。」曰く、「盜に坐す。」王曰く、「齊人固より盜するか。」晏子反顧して之に曰く、「江南に橘有り、齊王人をして之を取りて江北に樹えしむるに、生じて橘と爲らず、乃ち枳と爲る。然る所以は何ぞ。其の土地之をして然らしむるなり。今齊人齊に居りて盜せず、荊に來りて盜す、土地之をして然らしむる無きを得んか。」荊王曰く、「吾子を傷つけんと欲して反りて自ら中れり。」
-
論語・衛霊公篇子貢、仁を為すを問う。子曰く、「工、其の事を善くせんと欲すれば、必ず先ず其の器を利くす。是の邦に居るや、其の大夫の賢者に事え、其の士の仁者を友とす。」
-
孫子・始計篇天とは、陰陽・寒暑・時制なり。
-
孟子・盡心章句下孟子曰く、「君子の陳蔡の閒に戹するは、上下の交わり無ければなり。」
-
孟子・滕文公章句下孟子、戴不勝に謂いて曰く、「子は子の王の善ならんことを欲するか。我明らかに子に告げん。此に楚の大夫有らんに、其の子の齊語せんことを欲すれば、則ち齊人をして諸に傅たらしめんか。楚人をして諸に傅たらしめんか。」曰く、「齊人をして之に傅たらしめん。」曰く、「一齊人之に傅たるも、衆楚人之を咻せば、雖日に撻(むちうつ)ちて其の齊たらんことを求むと雖も、得可からず。引いて之を莊嶽の間に置くこと數年ならば、日に撻ちて其の楚たらんことを求むと雖も、亦た得可からず。子、薛居州を善士と謂い、之をして王の所に居らしむ。王の所に在る者、長幼卑尊、皆薛居州ならば、王は誰と與にか不善を為さん。王の所に在る者、長幼卑尊、皆薛居州に非ざれば、王は誰と與にか善を為さん。一薛居州、獨り宋王を如何せん。」 <語釈> ○「咻」、音はキュウ、義はかまびすしくすること。○「莊嶽」、顧炎武云う、莊は是れ街の名、嶽は是れ里の名。
-
『墨子』所染子墨子、染絲する者を見て歎じて言いて曰く、「蒼に染むれば則ち蒼く、黄に染むれば則ち黄なり。入るる所の者變ずれば、其の色も亦た變ず。五たび入れて已に五色と為る。故に染は慎まざる可からざるなり」と。