呻吟語 / 外篇・人情・煩惱を將て恩愛を求む
休將煩惱求恩愛,不得恩愛將煩惱。
新字:休将煩悩求恩愛,不得恩愛将煩悩。
書き下し
煩惱を將て恩愛を求むる休かれ。恩愛を得ざれば煩惱を將たん。
現代語訳
煩いを抱えて恩愛を求めてはいけません。恩愛が得られなければ、煩いを抱えることになります。
解説
求める行為そのものが、結果を決めると示します。煩いを抱えたまま情愛を求めれば、得られなければ煩いが残ります。しかも求めている時点で、すでに煩いがあるわけです。前に出てきた、最大の禍は福を求めることだという段と同じ構図で、こちらは人との関係に当てはめられています。求め方への戒めになっています。求め方そのものへの、静かな戒めになっています。
この章句が説くこと
煩悩恩愛求める残る戒め
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・談道・情を著くれば煩惱を招く世間の物一として戀ふ可き無し。只だ是れ既に此の中に生まる、相與せざるを得ざるのみ。情を著くるに宜しからず。情を著くれば便ち無限の愛欲を生じ、便ち無限の煩惱を招く。
-
『呻吟語』外篇・人情・禍は福を求むるより大なるは莫し福は禍無きより大なるは莫く、禍は福を求むるより大なるは莫し。
-
『呻吟語』外篇・人情・多感を怕れず、愛感を怕る多感を怕れず、只だ愛感を怕る。世の逐逐戀戀たるは、皆な愛感なる者なり。
-
『呻吟語』外篇・人情・兩悔・兩求・兩怒兩つながら悔ゆれば釋けざるの怨み無く、兩つながら求むれば合はざるの交はり無く、兩つながら怒れば成らざるの禍無し。
-
『呻吟語』内篇・應務・姑息依戀と鹵莽逕宜姑息依戀は、是れ人に處するの大病痛なり。義に當たる處は、骨肉に處すと雖も亦た果斷なるを要す。鹵莽逕宜は、是れ事に處するの大病痛なり。緊要の處に當たりては、細微と雖も亦た檢點するを要す。
-
『呻吟語』外篇・人情・積恩の禍は救ひ難し積威と積恩と、二者は皆な禍なり。積威の禍は救ふ可く、積恩の禍は救ひ難し。