呻吟語 / 内篇・談道・情を著くれば煩惱を招く
世間物一無可戀,只是既生在此中,不得不相與耳。不宜著情,著情便生無限愛欲,便招無限煩惱。
新字:世間物一無可恋,只是既生在此中,不得不相与耳。不宜著情,著情便生無限愛欲,便招無限煩悩。
書き下し
世間の物一として戀ふ可き無し。只だ是れ既に此の中に生まる、相與せざるを得ざるのみ。情を著くるに宜しからず。情を著くれば便ち無限の愛欲を生じ、便ち無限の煩惱を招く。
現代語訳
世の中の物に、執着するに値するものは一つもありません。ただすでにこの世に生まれてしまった以上、付き合わずにいられないだけです。そこに情を絡ませないほうがよい。情を絡ませれば、限りない愛着と欲が生まれ、限りない悩みを呼び込みます。
解説
物を捨てよという話ではありません。生まれてしまった以上は付き合うしかない、と現実を認めたうえで、付き合い方に情を混ぜるなと言っています。所有そのものではなく、所有に絡みつく執着が悩みを生むという見立てです。仏教に近い言い回しですが、世を捨てずに世の中にいながら情を置かないところが呂坤らしいところで、暮らしの中で試せる教えになっています。
この章句が説くこと
執着欲煩悩物距離
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