呻吟語 / 外篇・人情・恕を行ふ者は審らかにせざる可からず
恕之一字,是個好道理,看那惟心者是甚麼念頭。好色者恕人之淫,好貨者恕人之貪,好飲者恕人之醉,好安逸者恕人之惰慢,未嘗不以己度人,未嘗不視人猶己,而道之賊也。故行恕者,不可以不審也。
新字:恕之一字,是個好道理,看那惟心者是甚麼念頭。好色者恕人之淫,好貨者恕人之貪,好飲者恕人之酔,好安逸者恕人之惰慢,未嘗不以己度人,未嘗不視人猶己,而道之賊也。故行恕者,不可以不審也。
書き下し
恕の一字は、是れ個の好道理なり。那の惟心者は是れ甚麼の念頭かを看よ。好色者は人の淫を恕し、好貨者は人の貪を恕し、好飲者は人の醉を恕し、好安逸者は人の惰慢を恕す。未だ嘗て己を以て人を度らずんばあらず、未だ嘗て人を視ること己の猶くせずんばあらず。而して道の賊なり。故に恕を行ふ者は、以て審らかにせざる可からざるなり。
現代語訳
恕の一字は良い道理です。ただし心を寄せる者がどんな思いを持っているかを見なさい。色を好む者は人の淫らさを恕し、財を好む者は人の貪りを恕し、酒を好む者は人の酔いを恕し、安楽を好む者は人の怠りを恕します。自分で人を測っていないわけではなく、人を自分のように見ていないわけでもありません。それでいて道の賊です。だから恕を行う者は、審らかにしないわけにいきません。
解説
恕という徳の落とし穴を突きます。自分を基準に人を測るのが恕ですが、自分が偏っていれば偏りを許すことになります。色好きは淫らさを許し、財好きは貪りを許す。手順としては正しく恕を行っているのに、結果は道の賊です。だから恕の前に自分を審らかにする必要がある。徳が自分の質を増幅するという構図です。徳が自分の質を増幅する、という構図になっています。
この章句が説くこと
恕自分基準偏り増幅審らか
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