呻吟語 / 外篇・人情・此の四人は其の數均し
一人運一甓,其行疾,一人運三甓,其行遲,又二人共輿十甓,其行又遲,比暮而較之,此四人者其數均。天下之事苟從其所便,而足以濟事,不必律之使一也,一則人情必有所苦。
新字:一人運一甓,其行疾,一人運三甓,其行遅,又二人共輿十甓,其行又遅,比暮而較之,此四人者其数均。天下之事苟従其所便,而足以済事,不必律之使一也,一則人情必有所苦。
書き下し
一人一甓を運べば、其の行くこと疾し。一人三甓を運べば、其の行くこと遲し。又た二人共に十甓を輿へば、其の行くこと又た遲し。暮に比びて之を較ぶるに、此の四人は其の數均し。天下の事は苟しくも其の便とする所に從ひて、以て事を濟すに足らば、之を律して一ならしむるを必ずしもせず。一ならば則ち人情に必ず苦しむ所有り。
現代語訳
一人が一枚の敷瓦を運べば足は速く、一人が三枚を運べば足は遅い。また二人で十枚を担げば、さらに遅い。日暮れに比べれば、この四人の枚数は同じです。天下の事は、その人のやりやすい方に従って事が成るなら、揃えて一つにする必要はありません。一つにすれば、人の情に必ず苦しむところが生じます。
解説
仕事のやり方を、実測で比べます。一枚ずつ速く運ぶ人、三枚ずつ遅く運ぶ人、二人で十枚を担ぐ組。一日の終わりに数えれば同じでした。だからやり方を揃える必要がありません。揃えれば必ず誰かが苦しみます。前に出てきた、揃っていないのが天の道だという段が、ここでは具体的な作業で裏づけられています。揃っていないのが自然だと、作業で裏づけられます。
この章句が説くこと
運搬実測同じ揃える苦しみ
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