呻吟語 / 外篇・人情・人の情を盡くさず
施人者雖無已,而我常慎所求,是謂養施;報我者雖無已,而我常不敢當,是謂養報;此不盡人之情,而全交之道也。
新字:施人者雖無已,而我常慎所求,是謂養施;報我者雖無已,而我常不敢当,是謂養報;此不尽人之情,而全交之道也。
書き下し
人に施す者已む無しと雖も、而も我常に求むる所を慎む、是れを施しを養ふと謂ふ。我に報ゆる者已む無しと雖も、而も我常に敢へて當たらず、是れを報いを養ふと謂ふ。此れ人の情を盡くさずして、交はりを全うするの道なり。
現代語訳
人に施してくれる者が止まなくても、自分は常に求めるところを慎む。これを施しを養うと言います。自分に報いてくれる者が止まなくても、自分は常に受け取るに値しないとする。これを報いを養うと言います。これが人の情を尽くさせずに、交わりを全うする道です。
解説
受け取る側の作法を示します。相手が惜しみなく施してくれても、こちらから求めることは慎む。報いてくれても、当然とは受け取らない。どちらも余地を残す形で、養うという語が使われています。前に出てきた、恩威は使い尽くすなという段と同じ考え方が、対等な交わりの場面に当てはめられた一段です。余地を残すことが、関係を長く保つ方法になります。使い切らないという原理が、ここでも働いています。
この章句が説くこと
施し報い養う余地交わり
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