呻吟語 / 外篇・人情・泉石に歸る時に朝市の心を動かす
不怕在朝市中無泉石心,只怕歸泉石時動朝市心。
新字:不怕在朝市中無泉石心,只怕帰泉石時動朝市心。
書き下し
朝市の中に在りて泉石の心無きを怕れず。只だ泉石に歸る時に朝市の心を動かすを怕る。
現代語訳
朝廷や市中にいて泉と石の心が無いことは恐れません。ただ泉と石に帰った時に朝廷と市中の心が動くことを恐れます。
解説
二つの場面のうち、どちらを恐れるかで人の質を測ります。俗事の中で隠遁の心を持てないのは、ある意味で当然です。しかし隠遁してから俗事の心が動くのは、本心が別のところにある証拠になります。場所を変えても心が残るかどうか。前に出てきた、隠者が驕りと憤りを溜めるという段と同じ主題です。場所を変えても、心が残るかどうかが問われます。本心がどこにあるかは、離れてみて分かります。
この章句が説くこと
朝市泉石本心場所残る
関連する章句
-
『呻吟語』外篇・人情・心は二三を怕れ、情は一を怕る心は二三を怕れ、情は一を怕る。
-
『呻吟語』内篇・存心・沒足の池中に隱潭有り試心石の上は即ち平地なり、沒足の池中に隱潭有り。
-
『呻吟語』内篇・存心・只だ去りて沾戀するを怕る來たりて濃艷なるを怕れず、只だ去りて沾戀するを怕る。
-
『呻吟語』外篇・品藻・未だ貪鄙ならざる者有らず林皋安樂懶散の心を以て官を做さば、未だ荒怠ならざる者有らず。家に在りて生を治め產を營むの心を以て官を做さば、未だ貪鄙ならざる者有らず。
-
『呻吟語』内篇・存心・這れ是れ一副の甚の心腸ぞ惡を為して惟だ人の知るを恐れ、善を為して惟だ人の知らざるを恐る。這れ是れ一副の甚の心腸ぞ。安んぞ長進を得んや。
-
『呻吟語』内篇・存心・只だ是れ涵養定まらず尊嚴の地、大眾の前、震怖の景に當たりて、心動き氣懾るるは、只だ是れ涵養定まらざるなり。