呻吟語 / 内篇・存心・只だ是れ涵養定まらず
當尊嚴之地、大眾之前、震怖之景,而心動氣懾,只是涵養不定。
新字:当尊厳之地、大眾之前、震怖之景,而心動気懾,只是涵養不定。
書き下し
尊嚴の地、大眾の前、震怖の景に當たりて、心動き氣懾るるは、只だ是れ涵養定まらざるなり。
現代語訳
厳かな場所、大勢の前、身のすくむような場面に出くわして、心が動き気がおびえるのは、ただ養いが定まっていないからです。
解説
緊張する場面が三つ挙げられます。厳かな場所、大勢の前、恐ろしい場面。どれもあがって当然の状況ですが、原因は場のせいにされません。ただ養いが定まっていないだけだ、と。技術や慣れの問題として片づけず、日ごろの心の養いに返す見方です。裏を返せば、こうした場面は自分の養いを測る物差しになるということでもあります。
この章句が説くこと
緊張大衆恐怖涵養測定
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『呻吟語』内篇・存心・其の氣甚だ平らかなり怨む可く怒る可く、辯ず可く訴ふ可く、喜ぶ可く愕く可きの際に當たりて、其の氣甚だ平らかなり。這れ是れ多大の涵養ぞ。
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『呻吟語』内篇・存心・才めて涵養を見る平居の時、心有りて言を訒ぶは還た容易し。何ぞや。收斂するに意有るが故のみ。只だ是れ喜怒愛憎の時に當たりて、發して其の可に當たり、一も人を厭はしむる語無くして、才めて涵養を見る。
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『呻吟語』内篇・存心・此の心は常に適せんことを要す此の心は常に適せんことを要す。憂勤惕勵の中、困窮抑鬱の際なりと雖も、也た這般の胸次有らんことを要す。
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『呻吟語』内篇・修身・定氣と定力善く身を養ふ者は、饑渴・寒暑・勞役、外感屢しば變ずるも、氣體一の若く、未だ嘗て變ぜざるなり。善く德を養ふ者は、死生・榮辱・夷險、外感屢しば變ずるも、意念一の若く、未だ嘗て變ぜざるなり。夫れ藏令の身、發揚の時に至りて解〔亻亦〕し、長令の身、收斂の時に至りて鬱閼するは、之を定氣と謂ふを得ず。宿より鎮靜と稱するも、倉卒に至りて色變じ、宿より淡泊と稱するも、紛華に至りて心動くは、之を定力と謂ふを得ず。斯の二つの者は皆な養ひ無きの過ちなり。
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『呻吟語』内篇・存心・氣盛んなれば便ち涵養無し氣盛んなれば便ち涵養無し。
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『呻吟語』外篇・品藻・心粗は便ち是れ學の濟らざる處涵養有る人は心思極めて細かし。倉卒に應ずと雖も、胸中依然として暇豫にして、自ら粗疏の病無し。心粗きは便ち是れ學の濟らざる處なり。