呻吟語 / 外篇・人情・淵谷を以て康莊を視る
以患難時,心居安樂;以貧賤時,心居富貴;以屈局時,心居廣大,則無往而不泰然。以淵谷視康莊,以疾病視強健,以不測視無事,則無往而不安穩。
新字:以患難時,心居安楽;以貧賤時,心居富貴;以屈局時,心居広大,則無往而不泰然。以淵谷視康荘,以疾病視強健,以不測視無事,則無往而不安穏。
書き下し
患難の時の心を以て安樂に居り、貧賤の時の心を以て富貴に居り、屈局の時の心を以て廣大に居らば、則ち往くとして泰然ならざる無し。淵谷を以て康莊を視、疾病を以て強健を視、不測を以て無事を視れば、則ち往くとして安穩ならざる無し。
現代語訳
患難の時の心で安楽にいて、貧賤の時の心で富貴にいて、窮屈な時の心で広い場所にいれば、行くところどこでも泰然としています。深い谷として大通りを見て、病として健やかさを見て、思いがけないこととして何事も無いのを見れば、行くところどこでも安らかです。
解説
良い状態にいるときの心の置き方を示します。悪い時の心を持ったまま良い時にいれば、動じません。そして見方も三つ示されます。大通りを深い谷と見て、健やかさを病と見て、無事を思いがけないことと見る。どれも良い状態を当然としない見方です。落差が生じないから安らかでいられる、という仕組みになっています。落差が生じないから、安らかでいられるのです。
この章句が説くこと
心の置き方落差当然泰然見方
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