呻吟語 / 外篇・人情・之を瞽と謂ふ
無可知處盡有可知之人而忽之,謂之瞽;可知處盡有不可知之人而忽之,亦謂之瞽。
新字:無可知処尽有可知之人而忽之,謂之瞽;可知処尽有不可知之人而忽之,亦謂之瞽。
書き下し
知る可き無き處に盡く知る可きの人有りて之を忽せにす、之を瞽と謂ふ。知る可き處に盡く知る可からざるの人有りて之を忽せにす、亦た之を瞽と謂ふ。
現代語訳
知るあてが無さそうな場所にも、知るに値する人がいるのにそれを見過ごすのを、盲と言います。知るあてがありそうな場所にも、知るに値しない人がいるのにそれを見過ごすのを、やはり盲と言います。
解説
人を見る目の誤りを、二方向で示します。見込みの無い場所にいる人材を見逃すことと、見込みのある場所にいる無能を見逃すこと。どちらも同じ盲だとされます。場所で判断していることが共通の原因です。前に出てきた、どんな人にも使える点があるという段と合わせると、人ではなく肩書きや出身を見ている状態が問題だと分かります。
この章句が説くこと
人物眼場所見逃し盲肩書き
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『呻吟語』内篇・談道・見る所無き者のみ昏からず萬物皆な能く人を昏くす。是れ人皆な昏くする所有り。見ざる所有れば、見ざる者の昏くする所と為る。見る所有れば、見る者の昏くする所と為る。惟だ一に見る所無き者のみ昏からず。昏からずして然る後に天下を見る。
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『呻吟語』外篇・品藻・小知を以て人を觀る進退用舍の權を操る者は、大體を知るを要す。若し專ら小知を以て人を觀れば、則ち卓犖奇偉の士は都て遺する所に在り。何となれば、大節に敦き者は細謹を為さず、遠略有る者は或いは小才無く、巨任を肩にする者は或いは捷識無し。而して聰明材辯、敏給圓通の士、節文習熟、聞見廣洽の人は、類ね緩急の用に裨する能はず。嗟夫、言ひ難きかな。
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『呻吟語』外篇・品藻・瞽の星を指し、聾の樂を議す古人を評品するは、必ず須らく胸中に一段の道理有りて、權の平らかに衡の直きが如くにして、然る後に能く輕重を稱るべし。若し偏見曲說を執り、時に昧くして其の勢を知らず、其の病を責めて其の心を察せず、未だ嘗て身其の地に處らず、未だ嘗て心其の事を籌らずして、某は非なり某は過ちなりと曰はば、是れ瞽の星を指し、聾の樂を議するなり。大いに笑ふ可し。君子之を恥づ。
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『呻吟語』外篇・人情・過ち有る中に過ち無きを求む人情を論ずるに只だ薄き處に往きて求め、人心を說くに只だ惡き邊に往きて想ふは、此れは是れ私にして刻き底の念頭なり。自家便ち是れ個の小人なり。古人の人を貴ぶは每に過ち有る中に於て過ち無きを求む。此れは是れ長厚の心、盛德の事なり。學者熟思せば、自ら滋味有らん。
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『呻吟語』外篇・品藻・那一種の人裡にか沒からん賢人君子は、那一種の人裡にか沒からん。鄙夫小人は、那一種の人裡にか沒からん。
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