呻吟語 / 外篇・人情・義禮を守る者を倨傲と為す
守義禮者,今人以為倨傲;工諛佞者,今人以為謙恭。舉世名公達宦自號儒流,亦迷亂相責而不悟,大可笑也。
新字:守義礼者,今人以為倨傲;工諛佞者,今人以為謙恭。舉世名公達宦自号儒流,亦迷乱相責而不悟,大可笑也。
書き下し
義禮を守る者を、今人は以て倨傲と為す。諛佞を工にする者を、今人は以て謙恭と為す。舉世の名公達宦は自ら儒流と號するも、亦た迷亂して相ひ責めて悟らず。大いに笑ふ可きなり。
現代語訳
義と礼を守る者を、今の人は傲慢だと考えます。へつらいと媚びに巧みな者を、今の人は謙虚で恭しいと考えます。世を挙げての名高い高官が自ら儒者だと称しながら、やはり迷い乱れて互いを責め合い、悟りません。大いに笑うべきことです。
解説
評価の言葉が、まるごと入れ替わっている状態を示します。義と礼を守れば傲慢と呼ばれ、へつらえば謙虚と呼ばれる。呼び名だけが残って中身が反転しているわけです。そして儒者を自称する高官たちが、その反転に気づかず互いを責めていると指摘されます。大いに笑うべきと結ばれますが、笑いの奥にあるのは苦さです。呼び名だけが残って、中身が反転しています。
この章句が説くこと
義礼諛佞反転呼び名儒流
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