呻吟語 / 内篇・修身・弊規に循ひ時套を守る
循弊規若時王之制,守時套若先聖之經,侈己自得,惡聞正論,是人也,亦大可憐矣,世教奚賴焉!
新字:循弊規若時王之制,守時套若先聖之経,侈己自得,悪聞正論,是人也,亦大可憐矣,世教奚頼焉!
書き下し
弊規に循ふこと時王の制の若く、時套を守ること先聖の經の若く、己を侈りて自得し、正論を聞くを惡む。是の人や、亦た大いに憐れむ可きかな。世教奚くんぞ賴らんや。
現代語訳
崩れた決まりを今の王の制度のように守り、その時々の型を昔の聖人の経書のように守り、自分を誇って満足し、正しい議論を聞くのを嫌う。こういう人は、実に憐れむべきです。世の教えは何を頼りにすればよいのでしょうか。
解説
慣例を守ること自体ではなく、慣例を神聖なものと取り違えることを責めます。弊規とは崩れた決まり、時套とはその場限りの型です。どちらも一時のものなのに、それを法や経書のように扱ってしまう。しかもそういう人ほど正論を聞きたがらない。憐れむべきという言い方に、怒りよりも諦めがにじんでいます。由来を確かめないまま守るのが、いちばん危ういのです。
この章句が説くこと
慣例形骸正論固執由来
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