呻吟語 / 外篇・人情・只だ回頭して一句の錯を自家に任ず
兩人相非,不破家不止,只回頭任自家一句錯,便是無邊受用;兩人自是,不反面稽唇不止,只溫語稱人一句好,便是無限歡欣。
新字:両人相非,不破家不止,只回頭任自家一句錯,便是無辺受用;両人自是,不反面稽唇不止,只温語称人一句好,便是無限歓欣。
書き下し
兩人相ひ非とせば、家を破らずんば止まず。只だ回頭して一句の錯を自家に任ぜば、便ち是れ無邊の受用なり。兩人自ら是とせば、面を反し唇を稽せずんば止まず。只だ溫語もて人を一句好しと稱せば、便ち是れ無限の歡欣なり。
現代語訳
二人が互いを非とすれば、家を破るまで止まりません。ただ振り返って一言だけ自分の誤りを引き受ければ、それが果てしない受用です。二人が自分を是とすれば、顔を背け唇を尖らせるまで止まりません。ただ温かい言葉で相手を一言よいと言えば、それが限りない喜びです。
解説
争いの止め方を、二つの場面で示します。互いを非とする場合は、一言だけ自分の誤りを認める。互いを是とする場合は、一言だけ相手を褒める。どちらも一言で足りるとされているのが要点です。放っておけば家を破るところまで行くのに、止めるのに要るのは一言だけ。費用対効果の大きさが、そのまま勧めになっています。止めるのに要るのは、たった一言だけなのです。
この章句が説くこと
争い一言認める褒める費用対効果
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