呻吟語 / 外篇・治道・州懸に發示す
發示州懸:「憫其飢,念其寒,誰不可憐子女,肯推毫髮與蒼生,不枉為民父母;受若直,怠若事,誰能放過僕童,況糜膏脂無治狀,也應念及兒孫。」
新字:発示州懸:「憫其飢,念其寒,誰不可憐子女,肯推毫髪与蒼生,不枉為民父母;受若直,怠若事,誰能放過僕童,況糜膏脂無治状,也応念及児孫。」
書き下し
州懸に發示す。「其の飢ゑを憫れみ、其の寒きを念ふ。誰か子女を憐れむ可からざらん。肯へて毫髮を蒼生に推さば、民の父母為るに枉げず。若の直を受け、若の事を怠る。誰か僕童を放過するを能くせん。況んや膏脂を糜して治狀無くんば、也た應に兒孫に念ひ及ぶべし」。
現代語訳
州県に出した告示。その飢えを憫れみ、その寒さを思う。誰が我が子を憐れまずにいられようか。毛ほどでも民に推し及ぼすなら、民の父母であることを枉げません。お前の俸給を受けて、お前の仕事を怠る。誰が下男や小僧を見逃せようか。まして脂を費やして治めた跡が無ければ、子や孫のことまで思い及ぶべきです。
解説
州県の役人に出した告示です。上は共感の推し広げで、我が子を憐れむ心を民に及ぼせば父母たるにふさわしい。下は職務怠慢への戒めで、俸給を受けて怠るのは下男でも許されないとします。そして最後に子孫が持ち出されます。報いが自分だけでなく子孫に及ぶという言い方で、実際に人を動かす調子になっています。報いが子孫に及ぶという言い方が、実際に効きます。
この章句が説くこと
州県告示推し及ぼす怠慢子孫
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