呻吟語 / 外篇・治道・只だ一の諍の字
「與上大夫言,誾誾如也」朱注云:「誾誾,和悅而諍。」只一諍字,十分扶持世道。近世見上大夫,少不了和悅,只欠一諍字。
新字:「与上大夫言,誾誾如也」朱注云:「誾誾,和悅而諍。」只一諍字,十分扶持世道。近世見上大夫,少不了和悅,只欠一諍字。
書き下し
「上大夫と言ふには、誾誾如たり」。朱注に云ふ、「誾誾は、和悅にして諍ふ」と。只だ一の諍の字、十分に世道を扶持す。近世上大夫を見るに、和悅を少しも了せざるも、只だ一の諍の字を欠く。
現代語訳
上大夫と語るときは誾誾としていた、とあります。朱子の注に言う、誾誾とは和やかで喜ばしくありながら争うことだと。ただ一つの争うという字が、十分に世の道を支えます。近ごろ上大夫に会うのを見ると、和やかさは少しも欠けていませんが、ただ一つの争うという字が欠けています。
解説
論語の一語を、朱子の注を通して読み直します。和やかでありながら争う。この二つが同居しているのが要点です。そして今の姿が対比されます。和やかさは十分だが、争う字が無い。一字だけ抜け落ちているという言い方が的確で、前に出てきた、会議で高い者がもごもご言うという段と同じ現象を指しています。一字だけが抜け落ちている、という言い方が的確です。
この章句が説くこと
誾誾和悦諍一字欠落
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