呻吟語 / 外篇・治道・木を刻みて人に肖す
治道只要有先王一點心,至於制度文為,不必一一復古。有好古者,將一切典章文物都要反太古之初,而先王精意全不理會,譬之刻木肖人,形貌絕似,無一些精神貫徹,依然是死底。故為政不能因民隨時,以寓潛移默化之機,輒紛紛更變,驚世駭俗,紹先復古,此天下之拙夫愚子也。意念雖佳,一無可取。
新字:治道只要有先王一点心,至於制度文為,不必一一復古。有好古者,将一切典章文物都要反太古之初,而先王精意全不理会,譬之刻木肖人,形貌絶似,無一些精神貫徹,依然是死底。故為政不能因民随時,以寓潜移黙化之機,輒紛紛更変,驚世駭俗,紹先復古,此天下之拙夫愚子也。意念雖佳,一無可取。
書き下し
治道は只だ先王の一點の心有るを要す。制度文為に至りては、一一古に復するを必ずしもせず。好古なる者有り、一切の典章文物を將て都て太古の初に反らんと要す。而して先王の精意は全く理會せず。之を木を刻みて人に肖するに譬ふるに、形貌絕だ似るも、一些の精神の貫徹する無く、依然として是れ死底なり。故に政を為して民に因り時に隨ひ、以て潛移默化の機を寓する能はずして、輒ち紛紛と更變し、世を驚かし俗を駭かし、先を紹ぎ古に復するは、此れ天下の拙夫愚子なり。意念佳しと雖も、一も取る可き無し。
現代語訳
治める道は、ただ先王の一点の心があることが必要です。制度や文物については、一つ一つ古に復する必要はありません。古を好む者がいて、あらゆる典章と文物を太古の初めに戻そうとします。しかし先王の精しい意図はまったく理解しません。木を刻んで人の形にするのに譬えれば、形と姿はそっくりでも、少しの精神も貫いておらず、やはり死んだものです。だから政治を行って民により時に従い、そっと移し黙って化す機を託せないまま、あれこれ変え、世を驚かせ俗をたじろがせ、先を継ぎ古に復するのは、天下の不器用な愚か者です。意図は良くても、一つも取るに足りません。
解説
復古の是非を、心と形で分けます。要るのは先王の一点の心で、制度と文物は同じでなくてよい。そして木彫りの人形の比喩が置かれます。形はそっくりでも精神が通っていなければ死んでいる。さらに、そっと移し黙って化す機を託せないまま変えることが批判されます。意図の良さが免罪にならないと、はっきり言われている一段です。
この章句が説くこと
復古心形木彫り意図
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