呻吟語 / 外篇・治道・勢分を堂階に脫す
古之為人上者,不虐人以示威,而道法自可畏也;不卑人以示尊,而德容自可敬也。脫勢分於堂階而居尊之休未嘗褻,見腹心於詞色而防檢之法未嘗疏。嗚呼!可想矣。
新字:古之為人上者,不虐人以示威,而道法自可畏也;不卑人以示尊,而徳容自可敬也。脫勢分於堂階而居尊之休未嘗褻,見腹心於詞色而防検之法未嘗疏。嗚呼!可想矣。
書き下し
古の人上たる者は、人を虐げて以て威を示さずして、道法自ら畏る可きなり。人を卑しめて以て尊を示さずして、德容自ら敬す可きなり。勢分を堂階に脫して居尊の休未だ嘗て褻れず、腹心を詞色に見して防檢の法未だ嘗て疏ならず。嗚呼、想ふ可し。
現代語訳
昔の上に立つ者は、人を虐げて威を示さなくても、道と法が自ずと畏れるべきものでした。人を卑しめて尊さを示さなくても、徳と容が自ずと敬うべきものでした。勢いと身分の差を堂と階から脱しても、尊い位の美しさは損なわれず、腹の内を言葉と顔色に見せても、防ぎ検める法は疎かになりませんでした。ああ、想像すべきことです。
解説
威と尊の出どころを、行為から離します。虐げなくても道法が畏れられ、卑しめなくても徳と容が敬われる。そして二つの両立が示されます。身分差を崩しても尊さは損なわれず、腹を見せても検めは疎かにならない。普通は片方を取れば片方が崩れますが、両立できたと言われます。今の上下と対比しての、憧れの調子が込められた一段です。
この章句が説くこと
威尊道法徳容両立
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